少し苦い気持ちを持ってしまったナゴミを無視し、美奈は話を続ける。

「私の彼の名前は、篠崎 怜真(しのざき れいま)。二年鳥組で、バスケ部のエースを努めておりますの。付き合い始めたのは、三年前の中等部の時からですわ」

「あ、確か去年の学園祭で行われた『玲瓏美男子コンテスト』で優勝した人ですよね?」

ナゴミが口を挟んだ。

篠崎 怜真と言えば、高身長と笑った時に見える白い歯が印象的な、若干チャラい感じのイケメン。

何度か人気雑誌で読者モデルを務めた事もあるらしく、ちょっとした有名人だ。

玲瓏学園内で知らない人は殆どいない、人気者である。

「そう!そうなのですわ!……でも彼、最近わたくしとのデートを断ることが増えて……」

シュンと肩を落とす美奈。頭のリボンもそれに合わせて倒れるように潰れた。

「……スッパリ別れたいから、浮気の証拠写真を撮ってくれ、ということですか?」

なんだか、離婚間際の夫婦の依頼を受ける弁護士か探偵みたいなことだなと思いながら、ナゴミが確認する。

「それもありますけどもね。そのついでに浮気相手もこてんぱんにして欲しいのですわ!」

「「は?」」

今度は四葉とナゴミ、二人同時に口を開いた。