四葉の三人の兄は、全員この学園出身だと風の噂で聞いたことがある。大方この人のことも、兄たちから聞いたのだろう。

「それで、ご用件は?」

もう、この存在自体が喧しい人にさっさと出て行って欲しいのか、四葉は話を促した。

今なら教室に入る前。軽い用なら一言二言会話を交わしただけで出て行ってくれると思ったようだ。ナゴミも同意見だった。

「そうそう!聞いてくださいまし!」

二人の思いに反してツカツカと教室に入り、四葉が座っている生徒会長席をバシンと叩く美奈。

その勢いで、四葉の長すぎるツインテールがバザバサと揺れた。

その揺れたツインテールがナゴミの頬にベチンと当たる。

……二次災害。

「わたくしの彼が、二股してますの!」

「……は?」

先に口を開いてしまったのは、ナゴミだった。

何故、生徒会長にそんな関係ない痴情を話すんだろうか。

二人の話し方からして、特別親しいわけではないはずなのに。

「さっき言っただろ?名前と逆だって。昔から私は幸運を呼ぶどころか、厄介事に巻き込まれるんだよ。警視総監の孫娘だから。……まぁ、もう慣れたけど」

四葉が口元に手を添え、小声で言った。

確かに、警察関係の親族がいれば、多少問題を起こしても、揉み消してくれるかもしれない。

けど、それでいいのだろうか。