王女はドキドキしながらも、しばらく呆然と窓のほうを見ていました。

……それから一刻の時が過ぎた頃には、王女はサダックのことなど忘れていました。その時には大好きな本を読み、いつも通りの時を過ごしていました。

そこに低くて品格のある声が聞こえました。

「ミレーユ、お前は花を育てたいと言っていたのに、ひと月もしないうちに枯らしてしまったのか」

そこに立っていたのはブロンドの内にカールした髪に威厳ある顔立ち、金色の王冠、中肉中背の金銀の装飾で彩られたマントをはおった男性でした。

その男性は枯れた花を見つめています。

「お父様」