「優樹菜、行くよ」




臣はそう言うと、水沢さんの手を取り歩いて行ってしまう。
一度も振り返ることなく。
私は、二人の繋がれた手をただ見ていた。




「ちょっと、結芽?いったいどうしたの?なにがあったの?」

「・・・行こう、志保。本当に遅れちゃう」



志保の問いかけに答える余裕がなくて私は歩みを進める。
私が望んだこと。
私が、臣にさよならって言ったんだ。

それなのに、なんで傷ついてるの?



あんなこと言っても、臣は私の事を好きでいてくれるって思ってた?



バカみたい。
そんなわけないじゃん。




私みたいなわがままで自分勝手な女・・・。
臣だって離れられて清々したはず。





これでいいんだから。





「結芽!ちょっと!」