その一方で。
そんな事はあって欲しくないと強く強く願ってしまう自分自身の心に、私は必死でブレーキをかける。

…彼は、地元の同級生で、この10年、会っていないに等しくて。
今、彼が何の仕事をしているのかさえも私には分からないんだ。

それは、私たちがどれほど遠く離れてしまったのかを意味するもので。
他人と呼ぶにも大差ない距離にいる私が、彼の容態をあまりに案じるのは、もはや心配の範疇を越えてしまいかねなくて…――。

気にしすぎてはいけない。

取り乱してはいけない。

今、私がすべきことは彼の保険証を受け取り仕事に戻ることだけでいい。

ここに誰もいないのなら呼びに行くなり何なりの手立てを取って、私は私の仕事をこなさなきゃならない。

それが、『卒業以来会うことのなかった』二人の今の関係に一番適しているんだ。