「はぁ‼ やっとついたぁ‼」

草むらからやって来たのは茶髪混じりの綺麗な髪をなびかせた男だった。


「あなたが柳城拓也ですか」
「んぁ?ぁ、そうっす‼やなしろたくやっす‼」

全員が集まった。
柳城拓也、この人も格好いい。

先輩たちとは少し違い体育会系の男だ。


先輩たちが先を歩き、僕は柳城拓也の隣を歩いた。

中は普通の体育館だった。
キュッキュッとシューズの音が響く。

「.....。何か?」
隣から射るような視線を感じた。
柳城拓也だ。

「俺、柳城拓也‼あんたも新入生だろ‼」
「うん。尼寺ノラ」

「ノラかぁ~。じゃぁノラ猫だな‼」
「猫じゃねぇ」
「可愛いなぁ」
「可愛くねぇ‼」

何なんだ。勘に触る男だな。
イライラしながら聞いていた。

「そこ。静かにしてください」
わぁ。僕まで怒られてんの?

心外だなぁメガネ君

心の中でブーブー言っていたら先輩に舞台前の椅子に座らされた。

舞台上では、先輩たちが僕たちを見ていた。

「ご入学おめでとう。これで入学式は終わり。寮行くぞ」

えっ?!
はぁっ?!

「ぉ、終わり..なんすか??」
そんなバカな。とでもいうくらい柳城の顔が困惑していた。

「柳城。いーじゃん、長ったらしいよりさ」
僕は柳城の肩を叩いた。
「だけどよ~尼寺~」
「行こう」

憧れるじゃん~とグチグチ言う柳城のネクタイを引っ張り先輩の後に続く。


そんな僕を見て、無口の一人が笑っていただなんて誰が思うだろう。