「俺と時雨は幼なじみでね、昔から時雨は完璧だった。抜かそうと抜かそうと頑張れば時雨はその上をいく男だった。」

抜かしたい、なのに抜かさない。抜かすことができない。

一瞬、薄いクリームのようなあの男の髪が脳裏に浮かんだ。


「なぁ、先輩。それって良いことだって知ってる?」
「え?」
参考書から視線を僕に向けた。
目を見開いた先輩。


「僕にもいてたんだけどね。それって抜かせるってことじゃん?」

先輩は意味がわからないと言う顔をしていた。



「上には上がある。時雨先輩の上もある。所詮同じ人間だ。皆平等なの。努力次第で上に追い付くかも....そう思うとさ」