「蒼汰。ちょっと出てくるから、あと任せていいか?」 居ても立っても居られない。 今すぐに、確かめないと――。 「あ、あぁ……お前、顔色悪いぞ。なにかあったのか」 「分からない」 今は何とも言えない。 何もなければいい――ただ、それを願うだけだ。 「湊叶、これ持っていけ」 蒼汰が投げ渡したのは、スマホ。 目が覚めるようなオレンジ色をした、蒼汰に似合うカラーだ。 「サンキュ」 エプロンを脱ぎ捨て、足早に店を出た。