天然姫と運命の翼


すまない、とアウゼが言う。

「あのころ、俺はまだ父を信じていた。
皆が敬う立派な王なんだと思って、
忠実だった。」

つぅ、とアウゼの頬を一筋の涙がつたう。

「だけど俺は父にはめられた…。利用され、
後から知ったのはこの事実だ」

ぎゅっ、と握りしめられたアウゼの拳から
血が滴り落ちる。

「素直で優しいエドワードを、こんな
俺のせいで困らせたくなかったんだ」

だから…エドワードにも誰にも話さず、
ずっと1人で抱え込んでいたの…?

その間にどれだけアウゼは悩み苦しんだのかと考えると、心が痛む。

「アウゼ…。」

気がつけば彼のことを抱き締めていた。