「………だから俺は、話したくなかったん だ。あの穢れた血を受け継いでいるから ……!」 悔しそうに、アウゼが言う。 その声は震えていて、怒りが感じられた。 「…すまない。すまない、楓ッ…。 俺の父が、そして俺も、お前を 傷つけてしまったんだ。…お前と渚様を、 裏切ったんだ…。」 でも、アウゼの言葉に違和感を感じる。 「………『俺も』…?ど、ういう、こと…?」 少しの沈黙のあと、アウゼは口を開いた。 「…渚様の亡命を父に報告したのは、 俺なんだ。」