全ての始まりは、13代目の姫の誕生だった
13代目の姫は、それまでの姫とは違い、
力を全く持っていなかった。
覚醒が遅くなったのではなく、本当に
ただの人間同様、至って平凡だった。
それが大きな反乱を生んだ。
何の力もない、ましてや羽もないただの
女に何ができる。ここから出ていけ。
そう考える人も多く、俺の父親も反乱軍を
押さえるのに必死だった。
しかし、唯一の希望があった。
伝説の子、北条渚には一人娘がいたのだ。
それが、北条楓。つまりお前だ。
娘が力を持っていれば、この国もこの世界も守ることが出来る。
姫は反乱軍を説得しようとしたが、無駄だった。
でき損ないの子も、でき損ないに決まっている。
そう言われた姫は、我が子の身を案じ
始めた。
反乱軍は自分だけでなく、我が子をも
殺そうとするだろう。
そう考えた姫はあることを決意した。