天然姫と運命の翼


キャハハハ・・・

女の子の声がする。
目を開くと、そこは一面桜で覆われた
ところだった。

目を凝らして見ると、1本の桜の木の下で
1人の女の子が遊んでいる。

花びらをすくっては投げ、すくっては投げ、と言う風に。

「おーい、ふうかー」

向こうから男の子が歩いてくる。逆光
なので顔はよく見えない。

「あーちゃん!」

と女の子が目をキラキラさせているから、
この子はお兄ちゃんか何かだろうか。

「おいで。母上が待ってる。」

「母上」という言葉を聞いたとたん、
女の子の顔が曇る。

「あーちゃんのお母様、怒ってる…?」

「何言ってるんだ?怒ってないよ。
心配しないで、帰ろう。」

不安げな女の子を安心させるように言う
男の子。

「・・・分かった」

2人は手を繋ぎ、遠くへ歩いていくーーー