(ひ、姫・・・?)

何のことだろう…。

そう考えたのもつかの間、
教室の扉が激しい音をたてて開いた。

数人のサングラス男が入ってくる。

「授業は中止だ。反論はないな?」

そう言いながら、男達は私の前で止まる。

「北条楓だな。一緒に来てもらう。」

感情のこもらない業務的な声。
この人たちはロボットなのではないかと、
場違いなことをかんがえてしまう。

はぁ、と溜め息をついた男は小さな
マイクに向かって言った。

「彼女には状況把握能力がない模様。
よって、強制連行します。」

・・・今、すごく失礼なことを言われた
気がするんだけど。

てか、強制連行って…まさか…?

「きゃっ!!」

男はあたしの体を軽々と持ち上げ、
肩に担ぐ。

ぐわんぐわんと揺れる視界に吐き気が
込み上げる。

「ち、ちょっと下ろして!
吐きそう吐きそう吐きそう!!」

無理無理ー!と叫ぶ私を見て耐えかねたのか、男は「おい」と仲間に何か指示する。

「はーやーく下ろしてっ!
下ろしてってば・・・むぐっ!?」

口に白い布をあてられ、甘酸っぱい薬品の
臭いが鼻をつく。

(あれ…?なんかすごく眠…い…)

あたしの意識は、そこで途切れた。