「もー、楓ってば今日も可愛い~!」

「お世辞なんて言ってもなんも出ないよ。
てか冴こそすごい美人じゃん!
昨日も3人くらいから告られてたよね~」

冴はとても美人。逆三角形の小さな顔に、
切れ長の大きな目、小さな鼻と口。
おまけにスタイル抜群で、明るい色の
ショートボブがよく似合ってる。

・・・童顔でチビのあたしとは正反対。

「あー、あいつらあたしじゃなくて
あんたが目当てなんだよ。」
冴は平然と言うけれど、あり得ない。

「えぇー、それは無いでしょー。
こんなチビ、相当な物好きじゃないと
好きにならないって!」

笑いながら言うと、隣から はぁ、という
溜め息が聞こえた。

「相変わらずの鈍感天然姫君・・・」

冴の呟きは、前方に友達を見つけて
走り出したあたしには届かなかった…。