楓という女が不思議そうな顔をしている。

エドワードに促され、挨拶してくるが
俺はあえて無視した。

「エドワード、確かめたのか?
こんなバカそうな女が姫なのか?」

バカそう、というのは結構本心だ。
いい意味でバカそうだ。天然ってやつか?

ちらりとアイツを見ると、あからさまに
イライラした顔をしている。

面白ぇな、こいつ。

しかし、こいつが発したのは予想外の言葉
だった。

「あ、あの、アウゼさん、姫って何なんで
すか?私、意味が分からなくて…」

それを俺に言わせるな。

そう思い、反射的に言葉を遮っていた。

「うるさい。」

女が固まる。

「貴様のような下等生物が、俺に話しかけ
るな。エドワード、もう連れていけ。
不快になる。」

「かしこまりました、アウゼ様」

まだ何か言いたげだったアイツは、
エドワードに引っ張られて出ていった。