「…奥さんとお子さんは救えます…。」

自然に、言葉がこぼれる。

「でも、自分は救えない…。自分の
意思に背いて、間違ったことをして…。
あなたは、永遠に苦しむことになりま
す…。」

男は怒ったように怒鳴り散らす。

「ッ…だからなんだと言うんだ!?
俺は、どんな形であれ、家族を
助けられれば…!!」

「それって、完全に利己的じゃ
ないですか!!」

しんっ…と、場が静かになる。

「仮にあなたが良かったとしても…。
国を裏切って、多くの人を傷つけて!
それで助けられても、ご家族は
嬉しくないです……。」