「…えで!楓!!」

アウゼの叫び声で現実に戻る。

私はまだ宙吊り状態で、男は何故か目に涙を浮かぺている。

(…この人は、反抗する気持ちで反乱軍に
入った訳じゃないんだ。脅されて、
仕方なく…。)

そう思うと、何故か涙が出てきた。

涙が頬をつたい、男の足に落ちる。

「お前を連れていけば…妻と子供は
救われるッ…。これで、いいんだ!」

男はそう言っているけれど、自分に
言い聞かせているようにも思えた。