中に入ると、1人の男の人が椅子に座って
こちらを見ていた。
すっと通った鼻筋、切れ長の目、薄い唇。
黒髪が、白い肌によく映えている。
こんなに整った顔の人、見たことがない。
でも、光を宿さない瞳でどこか悲しげな
印象を受ける。
「………エドワード、そいつが例の女か?」
「はい、楓様です。」
「かえで、か…。」
?
私の名前がどうかしたのかな?
「楓様、アウゼ様にご挨拶を。」
エドワードに促され、慌てて頭を下げる。
「楓です。」
「エドワード、確かめたのか?
こんなバカそうな女が姫なのか?」
・・・はぁ?
無視した上に、初対面から「バカ」って……
それに、また「姫」って…。
私は勇気をだし、訊いてみる。
「あの、アウゼさん、『姫』って何なんで
すか?私意味が分からなくて……」
「うるさい。」
ピシッと、その場の空気が凍った気がした…
「貴様のような下等生物が俺に話しかける
な。エドワード、もう連れていけ。
不快になる。」
「なっ…!!」
この言いぐさには、私もイラッとした。
言い返そうと口を開きかけたその時。
「かしこまりました、アウゼ様」
なんとあっさり命令に従ったエドワードに
よって、私は部屋から連れ出された。


