天然姫と運命の翼



「私はあのとき気を失う直前、アウゼの
背後に人影を見た…。誰かは分からなかっ
たけれど、光っていた十字架は見た…。」

「十字架…。持っているのはルイスだけ、
ということか…。」

こくんと頷く。


「楓…。」

アウゼが、私を優しく抱き締める。

とくん…とくん…と、アウゼの鼓動が
聞こえる。

「楓…会いたかった…。」

え…?

『会いたかった』

今、そう言ったの…?

涙が溢れて止まらない。