「次はどこに行くんですか?」

頭ひとつ分大きなエドワードを見上げ、
訊ねる。

「次はアウゼ様に会って頂きます。アウゼ
様はこの国の王子です。王子への挨拶は
、姫としてやっておかなければ
いけませんからね。」

…………………姫?

「あのー、姫って誰ですか?」

そう言うと、エドワードは「え?」と
言ってこちらを見た。

「楓様、それは真面目におっしゃって
いるのですか?」

は?何を言い出すんだ、この人は。

「もちろん大真面目です!」

「そうですか………。やはり、覚えては
いないのですね。」

「覚えていないって………何をですか?」

覚えているもなにも、ここへ来たのは
今日が初めて。何も知らない。

「………いえ、こちらの話です。
アウゼ様の部屋へ参りましょう」

何故か悲しげな表情で、エドワードは
歩いていく。

(この国に、何か秘密がある……。でも、
知らないほうがいいんだろうな。)