目に飛び込んで来たのは、数日ぶりに見るアウゼ。

私に気づいていないのか、背を向けて
座っている。

「アウゼ…?」

呼び掛けると、
ハッとしたようにこちらを向く。

「…楓。」

よく響く低い声で呼ばれ、静まっていたはずの心臓が、再び鳴り出す。

「……遅いぞ。もう30分は待った。
何をして居たのだ、バカ女。」

いつもはムカつくはずの憎まれ口も、
今は私の鼓動を早めるだけ。

「ご、ごめんね…。…どうしたの?」

アウゼと目を合わさないように、
窓の方に視線をやる。

「…今日、反乱軍がこの国を攻めてきた。」