「ねぇ、お母さん!
髪と変じゃない?」



「大丈夫だから早く入学式行きなさい!
遅れるわよ。」



新しい制服に身を包み、髪をとかして鏡を見る。お母さんに変じゃないか聞いて、新しい学園生活に胸を膨らませながら玄関を出た。



「いって来まーす!」



もちろん挨拶も忘れずに。



初めて履くローファーは、くるぶしにあたって思いのほか痛かった。



でも、こんな些細なことが高校生になったことを自覚させてくれる。



短いスカートをはくのは慣れなくて、下着が見えないか慎重になりながら通学路を歩く。



そしたら案の定、激しい突風が吹いた。



何とかスカートがめくれるのを防いだが、完全とは言えないので人がいないかあたりを見回してみる。



私が今いるところはT字路になっていて、私はそのTの下の部分にいるので後ろに人がいないか確認した。



学校はまがって右にある。あたりに人がいないのを確認して、私は赤い顔を髪で隠すように俯いて小走りに走って行った。



その光景をひとりの凛と同じ学校の制服を着た男子生徒が見ているとも気付かずに―――・・・