その男のひとは、グレーのスーツを着たごく普通の青年だった。 少なくともあたしにはそう見えた。 彼は列に沿ってゆっくり歩き出すと、全身どピンクの服に身を包んだ高校生くらいの子に話をし始めた。 つまり、彼女は今回の「5人」のうち第1号に選ばれたのだろう。 OL風のひと、 専業主婦っぽいおばさん、 ギターをかついだ金髪のひと。 次々と選ばれたひとたちは、感激したのか涙を流して喜んでいた。 ──これで4人。