「俺は高校1年生の時に心から大好きだと思える人に出会いました

でもその人は色んな事情があって男嫌いで
それでも俺は積極的に話しかけたりクローバーあげて、それで二人の栞を毎日作った

そのおかげもあってか、付き合えたんだ

本当に幸せだった」











みつばさんのことだ…


やっぱりみつばさんの話しをする先生の顔はどこか寂しげで



きっと何年経ってもそれは薄れてはくれても
完全に消えることはないのだろうと思う






話を聞くみんなの顔も真剣で
とても静まり返っている











「色んな事情も彼女から聞いて
それでも支えて楽しくすごしてたんだ

でも、幸せだった日々は一瞬で壊れた

彼女は末期の肺がんになってしまっていた
元々体は強いほうじゃなくて
余命は一年もつかもたないかって言われた

いきなりすぎるだろ?

それでも彼女は強い子だったから、くじけずにずっとずっと戦った」











肺がん



どれだけ先生がそれを憎んだのか

どれだけ神様に祈り、神様を呪ったのか…

それを考えると私まで苦しくなってくる











「やがて抗がん剤も聞かなくて、後は余生を楽しむことに決めたんだ

色んなことをしたよ
凄く凄く楽しかった

余命宣告されたのは12月

まだまだ時間はあると思ったら
彼女は俺たちの付き合った1年記念日の日に
静かに息を引き取ったんだ 」











それを聞いた瞬間みんなの顔も苦しそうに歪められる




でもそんなみんなを見て先生は優しく微笑んだ











「すごく苦しくて、俺も彼女のあとを追うことも考えた

けど、残された手紙とスケッチブックとクローバーの栞をみてなんとか生きてた

でも全然色のない世界で
ただ生きてるだけだったんだ」











相当苦しんだんだろうな…



何度聞いても苦しいって先生の声が聞こえてきそうな顔になってる





でも前よりは優しい顔で、愛おしむような顔かもしれない…