帰り道、朝陽はとても幸せそうに笑った。
「朝陽のお母さん、凄く良い人だね…。」
「…うん。今日会って、本当はどれだけ俺が愛されていたか分かった気がする。今までは小さい時の嫌な記憶ばかりだったけど。思っていたよりずっと簡単だった。」
行きよりもリラックスしたような声色にほっとした。
「ん…今からでも何も遅くないってことに私も最近気が付いた。本当に大事なのは過去に囚われない事だったんだ。」
「うん。やっぱり、栞ちゃんがいてくれて良かった。」
真剣な声でそう言う。バイクだから顔は見えないけれど、どんな表情なのかはすぐに分かった。
「ちょっと!そんな風に言われると照れるなぁ?」
「こんな事言っていると朔夜に怒られそう…あ、あいつ出る時不機嫌だったから絶対怒ってるよ…!」
「うっ、一回拗ねると本当に子供みたいなんだから!」
「ふふっ、栞ちゃんその言い方は絶対怒るよ…」
「じゃあ、朝陽と私だけの秘密ね?」
「…うん。よし、急ごう!」
─────
倉庫に戻れば予想は外れ、朔夜は穏やかな顔でシャッターの前に立っていた。
「なぁ、栞ちゃん。…起こってないとか俺逆に怖いんだけど。」
「そ、そんなの、私もだよ。」
「おれ、もしかしたら殺さ「おい、俺を何だと思ってんだよ。」
眉間に皺をよせ、むっとする。それでも柔らかい空気は健在で。
その笑顔に私も朝陽もつられて。
「俺に出来なかった事を栞はやったわけだし。」
「朝陽のこんな笑顔なんて、初めてだ。」
「…うん」
「俺も。胸のつっかかりが取れた気がする。」

