❁來見 秋side



「あ·········あれ?」


俺は今、物凄い不思議な感覚に襲われていた。

今は授業中。

一時間目の数学だ。


「何だよ、これ·····?」


お腹が鳴る。
途轍もない空腹。


声の大きい数学教師の声で俺の腹の音はかき消されたが、お腹の減りは段々と強くなっていく。


「どうしてこんな····。」


腹を抑えてしまった。
お腹が減り過ぎて気分が悪い程だ。


「大丈夫?」


不意に、声をかけられた。
隣の席の女子だ。


すると、すっと腹の減りが消えた。「あ·····うん、大丈夫。」

俺はそう答えたが、空腹感の次には何故だか疲労感がおそってきていた。


(風邪かな········)

ノートを取ろうとし、シャープペンシルを持った途端にチャイムが鳴る。
いつの間にか板書が消されていた。


「今日の授業はかなり重要なところだから、ちゃんと復習しておけよ。」


俺は自分で言うのもなんだが優秀だった。
ノートを取り逃した事は無い。

(後で友達に見せてもらおう····)


ノートを閉じた後、試しに熱を測って見るため保健室に行った。