❁來見 秋side





「あぁ。腹が減った。」




今日もだ。

物心ついた頃からずっと、いくら食べても腹が減ったままなのだ。


(今、朝ごはんを食べたばかりなのに。)


俺はテーブルの上にあったロールパンの袋を開き、1つ口に運ぶ。




「兄ちゃん!」


いきなり、背中に衝撃が走った。


「ッ──!!
いっ、痛いじゃないか赤月ッ!」



「だって、兄ちゃん食べてばかりだし。早くして走りに行かないと、朝練に遅れちゃうよ。」



慌てて時計をみるともう時計は6時を指している。



「ッっ!?も、もうこんな時間か!」



俺はすぐ横に放り出されてあった
カバンの中に、大雑把に制服を入れ、
肩にかけ、パンを口に入れたまま玄関へと走る。

1・2・3のスーパー素早いステップ。



「ちょ、兄ちゃん置いてかないで!」


もう靴を履き終わって今にも飛び出しそうな俺を見て、赤月は慌てて靴を履いた。