「…て何泣いてんの?」



私はその声に吃驚して前を向いた。


目の前には端正な顔立ちの藤くん。



「なっ、泣いてなんかないよ。これは目から汗が出てきたんだよ」



ありがちな言い訳。



「だし、別に藤くんが諦めろとか言ったから泣いてるわけじゃなくて最後の1問が難しかったから考えてたら泣けてきたというか…」



苦しい言い訳をした。


私……なに言ってんだろう。


すると、藤くんの右手が私の目元に触れ、涙を拭った。



「へっ!?」



私はあまりの衝撃でまた変な声が出てしまった。


私の目元が赤いのは涙だけのせいではないだろう。


私の目元に触れた指先の感覚が……


消えない。




「ごめん、ちょっと意地悪したくなった」




藤くんに謝られた…?