藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】

「藤くんのバカーー!!」



その背中に大声で叫んだけれど。


藤くんは当たり前のように歩みを止めてくれない。


泣くな泣くな泣くな泣くな!


笑え、思い出せ。


人間の声で鳴くヤギの動画を思い出せ、私。


あれを見ては死ぬほど笑ってるじゃん、おい、自分!!


そうやって自分を奮い立たせてもそんなの無意味だった。


涙で目の前の景色が滲んで、立ち去る背中も見えなくなった。


私は大好きな某高校野球漫画の中にある、有名な川べりでの「愛しています」ほどの愛の言葉を期待しているわけじゃないの。


ただ「好き」って。


藤くんの口からそのたった二文字の言葉が聞きたかっただけなの。


それなのに……


売り言葉に買い言葉。


どうしてこうなっちゃうんだろう。