藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】

「待てよ」



先ほど購買で買った袋を抱えながら教室へと戻ろうとした私に背後から声が聞こえ、私は一瞬足を止めた。


それが誰の声だかすぐに分かった。


でも、私は聞こえてない振りをして早足で廊下を歩く。



「ちょっ、待てよ」



キムタクみたいなことを言っていたけど、私の足は立ち止まらなかった。



「待てって」



ーパシッ



しかし、私の早足は彼にとってはそこまで早いわけではなかったようで。


簡単に腕を掴まれ、足を止めざるを得なかった。


影山修二だ。



「ほらよ」



掴んだ腕を離すと少し乱暴に私の方へと押し付けてきた。



「え、あ、これさっきの」



それはさっき同時に手に取った焼きそばパン。



「やるよ」


「え、いいよ……」


「いいって」


「だって…あ、お金」


「いいよ」



影山修二はぶっきらぼうにそう言って、身体を翻すと教室の方へと歩き出した。



「ま、待って!!」



そんな背中に声を投げかけた。


私はいつの間にか校舎の端まで逃げてきていたようで。


喧騒から逃れたこの場所は行き来する人さえ見当たらなくて。


大きな声を出せば廊下中響いてた。



「だからいいって言ってるだろ」


「そ、そうじゃなくて……」



影山修二から渡された焼きそばをギュッと握って言葉を放った。



「昨日……どうしてキスしたの…」