藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】

「はい。どーぞ」



そう言って私のちょうど目線上に頭を突き出す。


思ったより……顔と顔の距離がなんか近い。


少しでも動いたら触れ合ってしまうのではないかという、そんな距離感。


ふいに影山修二が伏せていた目を上げ、こっちをチラッと見た。


ーードキッ


私は思わずパッと視線を足元へと運んだ。


やだやだ、私。


こんなヤツに何ドキマギしてんだろ。


男の人に免疫がないからかな。


目線を戻すと、影山修二の目元は再び下を向いていて少しホッとした。


認めたくはないけれど……


やっぱり顔は整っていて、伏せた目元から男のくせにまつ毛まで長いんだ、ということに新たに気づかされた。


肌も綺麗でニキビ1つもないし。


スベスベ肌で女の敵だな。


ムダにイケメンなんて……ほんと腹立つヤツ。


そして、茶色く綺麗に染まった髪の毛。


前さっぱり切ってたのにあの頃からだいぶ伸びたよな、なんて思いながら。


私は影山修二の茶色い髪についた雪をポンポンと叩くように払った。


さっきと同様、ハラハラと雪が地面に落ちていく。



「とれたよ」



その瞬間、影山修二がこちらに目を向ける。


ーードキッ


鋭くて、そしてなんだか切ない瞳が私の動作を制止させる。



そしてーーー