オフィスの華には毒がある

「斉木くん、わたしが誰だか分からないくらい酔っ払ってるんだもん、電車は到底無理だね。タクシーで帰りなよ。捕まえてきてあげる」


半分ひとりごとのように呟いて、斉木くんの身体を押しやる。



ぐい、と予想外の力で引き寄せられ、そのまんま強く抱き締められる。


……な、んで?


「誰だか分からない訳ないじゃないですか」


耳元に、熱い吐息と共に囁かれる台詞は少し怒っているようにも聞こえて。


「今、飲み会を抜け出して来たんです。今日、飲み会に行くはずだったんでしょ?」


……ん?


なんで、その事を……。まさか。


「俺も飲み会でした。結香さん、ですよね?お友達」


!!!


たった今『まさか』と思ったことが、ぴたりとハマった感覚に、声が出そうになる。