オフィスの華には毒がある

間違って、『主任』『遠藤さん』と呼んでしまった数をカウントし、最終的に多く呼んでしまった方が罰ゲーム、ということは決まっていて。


「どうしたんだーい、那奈ちゃん」


「ずるい……」


「ずるくないでしょ、楽勝楽勝」


何だか分からないけど、『那奈ちゃん』は呼びやすそうだけど、『直哉さん』ってのは……。


コーヒーの入ったグラスを二人分、運ぶ。
まぁ、いいんだけど。


『職場に、普通に前みたくかわいいやつ持ち込めばいいじゃん』と主任が言えば、
『そっちこそ、職場でその格好してればいいのに……』
とわたしが返して。


へへ、と意味無く笑い合えば、心底幸せで。
お気に入りの雑貨を持ち込むかどうか、主任が職場でどんな格好をするか、そんなことは本当にどうでもいいんだと思い知る。


一緒に飲むのなら、こんなただのコーヒーでも美味しい。