オフィスの華には毒がある

触れ合うことで、″もしかして″″まさか″とうやむやになっていた物が、はっきりとしてしまいそうな気がした。


わたしは、この手を離したくない。

この感情の、正体がもうすぐそこまで見えている気がしたけど、そこは、突き止めたくない。


……だけど、手を離したくない。なんなんだ、それ。


「遠藤さん」


「……はい」


怖い。今まで斉木くんに感じた恐怖とはまた、別の種類の怖さ。

わたしが意識的に気づかないふりをしている事実を突き付けられる予感と言うか、後戻り出来ない怖さと言うか。


「安心して。俺には、遠藤さんを好きになる資格がない。今、酔っ払っているから。俺、酔っている間のことは、ぜーんぶ忘れちゃうから」



……あれ?
思っていた流れと違う。だって、手を繋いでいるし、てっきり……ほら、好きとか、そういう……好きになる、資格がない??

いや、よく、わかりませんけど。なによそれ。