オフィスの華には毒がある

「何人か、見かけたらしいですよ。超絶イケメンが会社付近をうろついてて、ハンカチ落としたから、拾って声を掛けたら、声と仕草が主任そっくりだったとか、目撃情報が結構あって」


……有り得る。だって、社内から着替えて堂々と別バージョンになって出ていってたもんね、この間なんて。
そりゃあ目撃情報も出るわ。


「あの人に聞けば分かるんじゃない?ほらあの噂の……」


ドキドキしながらも、なんてことない風を装って畳み掛けてみる。
フェロモンさんと付き合っている、っていう噂だって、社内では結構出回っていたし。


「あー、あー、あの人」


塩井君は積み上がった資料を片付けて……というか、何となく手で、がさがさともてあそびながらお喋りに夢中で。


「あの人と主任は……違うんじゃないですかねぇ」


「え、だって、週末とかだってデートしてるって噂聞いたよー?」


……噂どころか、わたしつい先日鉢合わせしてるんですけど。