オフィスの華には毒がある

心臓がヒヤリとする。


斉木くんが、惨めになるだなんて。


「ごめ……あ、違う」


また謝りそうになって慌てるわたしを見て、斉木くんをまとう空気が緩む。


「ちゅーもさせてくれないような人は、送りませんからね」


ふと見ると、面白い遊びを思い付いた小学生男子のような顔。


「……ありがとう」


ぴょこ、とおじぎをして、斉木くんの元から走り出す。


走っちゃってる時点で″体調不良じゃないんかーーーい!″というつっこみを自分自身に入れながら。


斉木くんは、勿論追いかけてこなくて。

ちらりと振り返って、タバコでも吸っていてくれたらいいのに、と思う。
それか、ダルそうにボリボリ頭を掻いているとか。
なんだよ、あいつ騙されねーのかよ、みたいな。