オフィスの華には毒がある

「今日一緒に居て、楽しかったけど、何か違うと思ったの。斉木くんは、かっこいいし、話も面白いけど……わたしがこんなこと言うなんて何様だよって感じだけど、本当にごめん」


がば、と頭を下げる。

斉木くんのジャックパーセルの爪先が見える。


「……あー、ほんとに駄目かぁ。……顔あげてください」


その台詞が言い終わる前に、左の頬に温かい感触が拡がる。


あ、斉木くんの手だ。


「最後に、よく、顔見せてください」


「さ、最後って……」


そんなに大きくもない同じ社内、これからだって何度も行き合うだろうに、そんな言葉に違和感を覚える。


「そういう感情を込めて見るのは、最後にするから」


自嘲気味に笑う斉木くんに、頬を撫でられつつ、顔をあげる。