オフィスの華には毒がある

じり、と一歩後ろに下がる。


お店の入り口で立ち往生なんて、かなり迷惑。


わたしが後退したのにつられるように、斉木くんが身体を近づけてくる。


じり、じり。


わたし達は、とりあえずお店の入り口から離れて、対峙する形をとる。


″もしかして……″なんて言われてしまったら、平静でいられる自信がない。


体調不良の一点張りで、どうかわたしを解放してほしい。


「うん、顔色、悪いですね」


覗きこむ距離の近さに心の中で突っ込みを入れる余裕もない。


「……うん」


「去年からずっと見てたんで知ってます。いつもと全然違う。もしかして朝からでしたか?気がつかなくてすみません」


そんな風にまるごと信じて謝られてしまうと、罪悪感でこっちがどうにかなってしまいそう。