「いやー、まさかですよねー、こんなとこで会社の人に会うだなんてー」
特に嫌がる様子もなく、寧ろ楽しげにウキウキと話す斉木くん。
どうにか適当に相槌を打ちながら取り繕おうと努力したのだけど……
「那奈さん?」
足が、止まってしまう。
お店のドアを開けた状態で、斉木くんが不思議そうにわたしを見ている。
促すようなその手は、清潔感があって、とても綺麗で。
だけど。
その手を取ってお店に入れない。
二人で仲良く席を選んで座れない。
メニューを楽しく悩めない。
何ならそのあと、映画も行きたくない。
映画が終わってからも、感想とか言い合ったりお茶したりご飯食べたりお散歩したりしたくない。(わたしの、デートの貧困なイメージ)
特に嫌がる様子もなく、寧ろ楽しげにウキウキと話す斉木くん。
どうにか適当に相槌を打ちながら取り繕おうと努力したのだけど……
「那奈さん?」
足が、止まってしまう。
お店のドアを開けた状態で、斉木くんが不思議そうにわたしを見ている。
促すようなその手は、清潔感があって、とても綺麗で。
だけど。
その手を取ってお店に入れない。
二人で仲良く席を選んで座れない。
メニューを楽しく悩めない。
何ならそのあと、映画も行きたくない。
映画が終わってからも、感想とか言い合ったりお茶したりご飯食べたりお散歩したりしたくない。(わたしの、デートの貧困なイメージ)

