オフィスの華には毒がある

嘘つき。

主任の嘘つき。


フェロモンさんと、付き合ってないって言ってたじゃん。
アイライン濃いとか言ってたじゃん。
それなのに、めっちゃ本気モードで、流行りのお店とか来てるじゃん。
完全にデートじゃん。
笑いあってたじゃん。


ムカつく。

ムカつく。ムカつく。

なんか知らないけど、ものすごくムカつく。


「主任と木村さん、お似合いですね」


「えへへー、そうかしら?」


フェロモンさん(木村さんって言うんだ?)と斉木くんの、乾いた笑いを交えた会話を、どこか知らない国の言葉のように聞き取るわたし。


出くわした四人中三人はとてもにこやかだけれど、残りの一人、イコールわたしはどうにもこうにも笑えない。


タイミング的に、手の甲にキスをされたところは見られていないだろう、という事実が、かろうじて気持ちを落ち着かせてくれる。