オフィスの華には毒がある

ほら人通りもあるし、お店の目の前で……と慌てながらログハウス風のお店の入り口に目を向ける。


……あれ?


カラン、という大きなカウベルの音と共に、知っている顔が出てくる。

誰だっけ。


……あ、フェロモンさん!!!(未だに分からない本名……)

と。

フェロモンさんが笑いながら、自分の後ろで締まりかけたドアを振り返ってもう一度開ける。

そこから、すぅっと長身の男の人が顔を出す。

『男の人といたらしい』

いつだったか、環の言っていた台詞が脳内で廻る。


だけど。
嫌な予感と共に、ああ、と思う。

締まりかけたドアを指さしながら何やら笑っているその人は、紛れもなく…………主任で。


眼鏡をかけずに、今日もやっぱり、力の抜けた、だけど良い感じにわたし好みの格好をしている。
なんて、努めて冷静に分析をしつつ、わたしの心臓は″飛び出るんじゃないか″という古い表現さながらに、激しく存在をアピールしていて。