オフィスの華には毒がある

「わたし、帰りたいんで。駅までの道、歩きながらで」


「近くに、美味しいチーズが食べられるショットバーがあるんですけど……」


「…………」


わたしの無言の意味を正しく理解したのか、


「……さーせん」


小さく呟いておとなしく駅方面への道を並んで歩き出す斉木くん。


……あ、主任の方が背が高いんだな。

いやいやいや、どうでもいいからそこ。



「……ほんと、すみません」


ああ。苦痛。なんなんだろう、この時間。

顔も見たくない男から、思い出したくもない件について、謝り続けられるという生産性のない時間を過ごさなきゃいけないって、一体何の罰ゲームなわけ?


いやだ。すごーく嫌だ。なんなの、この時間。