オフィスの華には毒がある

嘘でしょ?
置いていかないでーーーーっ!!


心の中の絶叫をよそに、夜の街に残されるわたしプラス一人。


「……じゃあ、そういうことで、わたし、この辺で……」


なにが″じゃあ″なのかはわたしにも分からないけど、とにかく一刻も早く立ち去るしかない。逃げるが勝ち!


「……那奈さん」


今まで環と、きゃっきゃしてたあのテンションどこいった?と問い詰めたくなるくらい、ゾッとするような静かな声が響いて。


「……はい?」


仕方なく、恐る恐る応える。


急に辺りの雑踏が聞こえなくなって……わたし、緊張しているのかもしれない。


どんな顔をしたらいいのかわからない。