オフィスの華には毒がある

にこっと笑うその目元。かわいいような、男っぽいような、不思議な雰囲気。


ほんの2ヶ月前にわたし達の間に起きたことは、幻だったのでしょうか。


その笑顔は、続きまして『必殺、やましいことはなにもありませんの術』かしら。


とりあえず、早くここから立ち去りたい。


「折角会ったんだし、これから3人で飲みに行きません?」


……いやです。

心の中ではハッキリ断れるのに。


「あー、ごめん、今から環とご飯だから……」


言いながら環に目配せをする。

″ハナシヲアワセロ!!″

とどけ、わたしの念!!!


「そー、あたし彼氏と今からデートだから」


バカ!あんたはバカなの?!バカなのね??んもーーーーーーーーっ。『そー』ってなんだ。話を聞いて……。


企みが失敗してうなだれるわたしをよそに、
『あ、もう、時間なんで。先輩、斉木、また来週ーっ!』


笑顔で手を振り走り出す環。