オフィスの華には毒がある

あははは、と楽しそうな笑い声が響く。


笑いすぎて涙を拭うような仕草をしながらも、斉木くんの話は続いていく。


「で、その本命がどうやら我らさつき出版の一番の美人、受付嬢のヤスエさんらしいんですけどねー」


「いやー、すでに楽しそうに話す姿めっちゃ見るよねー?」


「でも、セフレは切ったらしいよー」


「いや、でもこの前ヤクルトのお姉さんに凄い至近距離でなんか囁いてたよー」


「それ単に注文じゃないの?!」


どっとわくわたし達のテーブル。


あはは、と一緒に笑いつつも、斉木くんの笑顔を思い出す。


みんなの斉木くんの位置付けは、どうやら
『確かに格好いいけど、チャラいし、遊ばれたくないし、話してて楽しい男友達』ぐらいのもの?


わたしも、こんな風に、あの軽さを、身のこなしを、笑い飛ばせたらいいのに。