オフィスの華には毒がある

そりゃあ、モテるわ。


……なーんて、他人事のように思っているけど、わたしだってついこの間までは、そんな彼に惑わされていた一人。


そんなことを考えると、ぐ、と何だか胸の辺りが苦しくなって、一気にアイスティーを流し込む。


「に、してもさぁ。本当だと思うー?」


「いや、ありえないよねぇ」


くくく、と笑う子達に向かって思わず、


「えー。なになに?」


聞いてしまう。
ずっと黙っているのも不自然だし……とかではなく、ごく自然に気になったから。


「あんだけ遊び回って、女の子取っ替え引っ替えしてたのに、本命にフラれたらしいですよ、楓馬」


「で、オンナ遊びをやめて、穢れた身を清めたらまたアタックするんだそうですー!」


「穢れた身て……って、なんでいつの間にあんたが被害者になってんの、ってねー!」