オフィスの華には毒がある

「遠藤さん」


とても近くから聴こえる声は、包む体温よりも温かくて。


思わず、目を閉じる。


「……」


背中をポンポンと叩かれる。小さい子どもをあやすような。


「どうどう」

……ん?


「どうどう」


……いや、暴れ馬じゃねーーーーっつーーーーの!


バッと強く身体をはがす。


「それでは、おやすみなさい!」


酔いなんて、とっくの昔にさめていたけど、これは酔っていて見た悪い夢だ、と自分に言い聞かせながら一人で走り出す。


追いかけられても困るけど、背中から聞こえてきたまさかの
「おやすみー」
という言葉に力が抜ける。