オフィスの華には毒がある

だけど、どうしようもない。


主任の顔を見ていたら、あの日助けてくれたこととか思い出して、フェロモンさんと付き合ってないんだ、とか安心して、思わずキスしちゃったなんて言えるわけないし。


ていうかそうそう。なんでフェロモンさんと付き合ってないからって安心してるの、わたし。


しかもなに、思わずキスしちゃった、なんて。



「遠藤さん」


嫌だ、聞きたくないってば。


ふわ、と柔らかい香りが鼻をくすぐる。


気がつくと、主任に抱き締められていて。

あ、知ってる。

と思った。


知っているわけないのに、初めてこんなに接近したのに。


とにかく、″知ってる″と思った。認めたくないけど、安心感、に似ているような。


さすが身長が高いだけのことはある。温かい体温もあいまって、安心してしまう。