オフィスの華には毒がある

違う違う、あれは悪い夢。落ち着いて、わたし。


「え?だからー、完成したの、カタログ」


「へ?」


自分でも、どうかと思うほど間抜けな声。


だって、この間からわたしが手伝っていたカタログ作りは来期の分で。
確かに一段落したけど、そこからまだまだ工程があるはずで。

内部の会議だったり、資料の作成だったり、もろもろ。


例年だと、あと最低でも1ヶ月は掛かるような案件のはず。


「早くないですか?」


「え、そんなクレーム初めてなんだけど」


主任が、背中に触れてしまったことは気にもとめていない様子でキレ気味に言う。


「いや、クレームじゃなくて感想です」


「そーかー?俺が単に出来るオトコっつーだけでって……「わたしのサポートが功を奏したようで幸いです」


かぶせ気味に言ってから、顔を見合せ、どちらともなく笑ってしまう。

不覚。

不覚なんだけど、その、冴えない笑顔の向こうに、あの素敵な雰囲気の瞳を重ねてしまいそうになるわたし。