オフィスの華には毒がある

……何やっているんだろう。


こんな、マルシェみたいなイベント、好きなのは大抵女子なわけで……


ふと、結香の言葉がよぎる。
『こういうデートも穏やかでいいな』
みたいなこと、言ってなかった?


……そっか、デートか。
誰と?やっぱりフェロモンさんと??


主任別バージョンの隣辺り、誰かいるの?と座ったまま身を乗り出す。あ、なんか後ろ姿……

「よーし、わたし、きーまり!お待たせー那奈っ」


結香がまさかのタイミングで声を張る。


そこで、結香と共にアロマスプレー作りを始めなければならず、お姉さんの丁寧な説明が始まってしまったので、主任の隣を確認することは諦めるしかなくて。


へー、なんて相槌を打つふりをしてさっきの雑踏の辺りに目をやっても、そこに当然主任の姿はなくて。


心の中で小さくため息をついて、わたしは身体ごとお姉さんの方に向けて、集中した。